【新唐人2013年07月3日付ニュース】近日、新疆ウイグル自治区の各地で衝突事件が多発しています。6月29日、中国共産党政治局常務委員・兪 正声(ゆ せいせい)氏が工作チームを引き連れ、新疆の区都・ウルムチに入りました。同時に装甲車や軍用車、全身武装した武装警察隊による軍事演習も目撃されています。当局のこのような強硬姿勢によって、新疆の情勢に変化が現れるのでしょうか。
6月26日、新疆トルファン地区のピチャン県で襲撃事件が発生。政府系メディア・新華社は、事件によって35人が死亡したと伝えています。2日後、新疆南部のホーテン(和田)地区でも暴力事件が発生。死傷者に関する詳細情報は出されていません。
29日、中国共産党政治局常務委員で政治協商会議主席を務める兪正声(ゆ せいせい)氏が、孟建柱(もう けんちゅう)政法委員会書記や郭声琨(かく せいこん)公安部長などの高官からなる工作チームを引き連れ、ウルムチに入り、幹部大会を開きました。
兪氏は会議で、“厳しく取り締まり、高圧的な態勢で社会をコントロールする”と宣言しました。
中国国内のメディアは数日間の集団沈黙後、次々当局の強硬姿勢の宣伝に乗り出しています。政府系メディアの報道からは事件の真相を捉えることは難しいものの、殺気がみなぎる報道から、新疆地区の緊迫感を充分に感じ取る事ができます。
アメリカ・ニューヨークシティーカレッジの夏明教授は、モスクに対する当局の計画的な浸透とコントロールはずっと続いていると述べます。イスラム教を信仰するウイグル人と無神論を吹聴する共産党の間には、長期にわたって対立が存在しているため、暴力による高圧手段では対立を緩和することはできないと指摘します。
香港“明報”(みんぱお)の報道によると、29日、数十台の装甲車や武装警察隊を乗せた軍用トラックがウルムチ市の中心にある人民広場に集結。市内の一部道路が封鎖され、繁華街と政府庁舎前の警備も明らかに強化。近年稀に見る物々しい場面だったといいます。
時事評論家 林子旭さん
「中国は至る所で民衆の不満が噴出しています。近年 権利をめぐる民衆の抗争が
益々高ぶっていますが、中共が最も恐れるのは誰かが組織的な行動を起こし、武力で中共に対抗する事です。ここ数日間新疆で発生した事件は中共の最も敏感な神経に触れているのです」
フランスの国際放送RFI(Radio France Internationale)は、暴力手段を採るのは許しがたいものの、独立メディアによる充分な報道もなく、事件に関する情報が不十分な状況下で、中国当局が事件をテロによる襲撃だと決めつけるのは肝心な事を避けていると報道しています。
また、”アメリカウイグル会議”の責任者の話を引用し、新疆事件を通じて人々が目にしたのは、失敗した民族政策による悪影響から必死にメンツを取り戻そうとしている中国共産党の姿であると報じています。
時事評論家 林子旭さん
「事件発生後 中共はすぐテロ事件と断定しました。中共暴政に反対する人また団体にはレッテルが貼られます。『反中華勢力』『敵対勢力』『テロ分子』『チベット独立分子』『台湾独立分子』『新疆独立分子』等々、中共の敵はなぜこんなにも多いのでしょうか?国内 国外どこも敵だらけです」
新疆では近年、衝突事件が多発していますが、いずれも当局によって“テロ”のレッテルを貼られています。2009年の7月5日に発生した大規模衝突事件では200人近くが死亡しています。
RFIの報道は、多民族の平和共存は国家安定の基礎であるが、中国当局の高圧的な安定維持政策の下では実現できるものではないと指摘しています。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2013/07/01/atext923235.html (中国語)
(翻訳/坂本 ナレーター/村上 映像編集/蒋)